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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻9号

2004年09月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (7) 原著

Retinal migraineと考えられる若年性再発性網膜動脈分枝閉塞症の1例

著者: 森井香織1 田口浩司1 近藤威2 山中昭夫1

所属機関: 1神戸海星病院眼科 2神戸大学附属病院脳神経外科

ページ範囲:P.1769 - P.1772

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 39歳女性が左眼の上方視野欠損を突発して受診した。15年前に僧帽弁閉鎖不全症で人工弁置換術を受けて以後,抗凝固薬などを内服している。同じく,15年前から視野障害の突発が右眼または左眼に合計4回あり,他院で網膜動脈分枝閉塞症と診断されている。矯正視力は左右眼とも1.5であった。左眼の下耳側動脈の支配領域に蒼白化と浮腫があり,網膜動脈分枝閉塞症と診断した。発症から10時間後に行った蛍光眼底造影では,左眼眼底に循環障害はなかった。過去15年間に繰り返している網膜動脈分枝閉塞症が血栓による可能性は小さいと判断した。15年前の人工弁置換術以来,視覚異常を伴う片頭痛が頻発し,その発症時にはストレスが多く,興奮状態にあった。これらの状況から,自立神経失調や過呼吸に伴う網膜動脈の攣縮,いわゆるretinal migraineの発作があり,それが強いときに網膜動脈分枝閉塞症が発症したと推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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