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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻9号

2004年09月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (7) 原著

経過中に特異な眼底所見を呈した眼内悪性リンパ腫の1例

著者: 草場留美子1 田口千香子1 吉村浩一1 疋田直文1 山川良治1 中島収2 渡邉志穂3

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室 2久留米大学医学部第二病理学教室 3久留米大学医療センター眼科

ページ範囲:P.1793 - P.1798

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 71歳女性が50日前からの両眼霧視で受診した。その直後に直腸癌の手術を受けている。前医でぶどう膜炎と診断されている。矯正視力は右0.6,左0.2であった。両眼とも前房には異常がなく,硝子体中に細胞性の混濁が多数あった。眼底後極部に黄白色の滲出斑が散在していた。悪性リンパ腫が疑われたが,これを支持する全身所見はなかった。初診から5か月後に水晶体摘出と同時に硝子体の細胞診を両眼に行い,悪性リンパ腫の診断が確定した。術後に網膜色素上皮裂孔に類似する黄白色の帯状眼底病変と漿液性網膜剝離が両眼に生じた。約1か月後にこれらの病変は自然寛解し,左右眼とも1.0の視力を得た。以後12か月の間,無治療のまま経過は良好である。観察された特異な眼底病変は,悪性リンパ腫細胞が網膜色素上皮下に浸潤したためである可能性がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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