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文献概要
連載 日常みる角膜疾患22
輪部デルモイド
著者: 川本晃司1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.22 - P.25
文献購入ページに移動患者:7歳,男児
主訴:右眼結膜腫瘤
現病歴:出生後,産婦人科退院時に右眼結膜の腫瘤を指摘された。その後成長とともに腫瘤の大きさが増大してきたために,近医を受診した。精査および加療目的で当科を外来受診した。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
初診時所見:両眼とも眼位には異常を認めなかった。両眼瞼にも腫瘤などの異常所見は認められなかった。右眼下耳側角膜輪部に,結膜に比べてやや黄色調の充実性の腫瘤を認めた(図1)。腫瘤には表在性の血管を認め,中央部には毛を認めた。腫瘤の角膜辺縁には滲出物による混濁は認められなかった。結膜の充血も認められなかった。左眼外眼部には,特に異常所見は認められなかった。また右耳に副耳を認めたが,明らかな耳瘻孔は認められなかった(図2)。
治療経過:生下時より認められた角膜輪部の充実性腫瘤と初診時所見より,輪部デルモイドと診断した。腫瘤は角膜輪部にあり,角膜への脂肪浸潤も認められず,視力への影響は低いと判断し,当科外来で経過観察を続けていた。ただし腫瘤と同側に副耳があることからGoldenhar症候群を疑い,眼症状の他に全身疾患を合併していないかを検査する目的で,近医小児科を受診し精査を行ったが,特に他の全身合併症は認められなかった。
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