icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻1号

2005年01月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

ニプラジロール点眼で軽減した糖尿病黄斑浮腫の1例

著者: 永井由巳12 安藤彰2 岸本直子1 福島伊知郎2

所属機関: 1大阪歯科大学眼科 2関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.41 - P.46

文献購入ページに移動
66歳男性が眼底検査の目的で受診した。18年前に糖尿病を発見され,食事療法を行っていたが血糖コントロールは不良であった。視力は右1.0,左0.6で,両眼に網膜出血が散在し,左眼には硬性白斑と軟性白斑があった。蛍光眼底造影で眼底後極部に血管からの色素漏出があった。これらの所見から両眼に光凝固を行った。その14週後に黄斑浮腫が出現し,矯正視力は右0.6,左0.15になった。さらに3か月後に硝子体手術,眼内光凝固,眼内レンズ挿入を行った。黄斑浮腫が軽減して視力がやや向上したのち,再び視力が右0.1,左0.2に低下した。ニプラジロール点眼を1日2回開始した。その11か月後,黄斑浮腫は寛解し視力が右0.2,左0.3に回復した。経過中のHbA1c値は6.6%以下であった。ニプラジロールに黄斑浮腫軽減効果があった症例であり,その奏効機序として,網脈絡膜循環の改善,アポトーシス抑制,細胞機能の活性化などの可能性がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?