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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻11号

2005年10月発行

文献概要

特集 眼科における最新医工学 I.診断機器への応用

実用視力計

著者: 海道美奈子1 坪田一男1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.90 - P.95

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概念

 従来の視力検査は自由な瞬目下の,ある一時点での視力を測定するものである。一瞬でも見えればそれが視力となる。しかしこれがどのくらい日常生活での視力を反映しているかは議論されているところである。例えば,高速道路での車の運転で瞬きをせずに走行した場合,あるいは本やテレビ画面などを凝視した場合,見え方が悪くなると感じることがある。このことは,目を継続して使用することにより視力は低下する可能性を示唆している。その原因は瞬目をせずに凝視することにより眼表面が乾き,眼表面の涙液層に乱れが生じるためであり,視力の変化は特にドライアイ患者で著明であると報告されている1,2)。実際にドライアイ患者は正常者に比べて涙液の安定性の変化が大きいという報告3)があり,また後藤ら4)はドライアイ患者を対象に開瞼後10秒後の視力を測定し,従来の視力検査での視力値より低下していることを示している。

 日常生活のなかで継続的に目を使い,目にストレスがかかる状態にあるときの見え方が人が自覚している見え方であり,絶えず変化している視力という概念が実用視力である。目の状態や環境,ストレスの程度により実用視力は影響されると考えられるが,視力表を凝視させ経時的に視力を測定するという方法で実用視力を測定する。実用視力検査は,「検査での視力値は1.0であるが,なんだか見えにくい」など従来の視力検査では判明できないような日常生活での見え方を評価するのに有用であると考えられ,その意義は大きい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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