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特集 眼科における最新医工学 II.視機能再生工学 人工視覚
(1)1チップ型人工網膜
著者: 富田浩史1 小柳光正2 玉井信1
所属機関: 1東北大学先進医工学研究機構生命機能科学分野 2東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻バイオデバイス工学講座
ページ範囲:P.106 - P.110
文献購入ページに移動厚生省特定疾患である網膜色素変性症,視神経萎縮,また加齢性黄斑変性症は高齢化社会の進行とともに急増傾向にあるが,有効な治療法は確立されていない。網膜色素変性症は,近年,遺伝子技術の進歩によりさまざまな原因遺伝子の同定が進んでいるにもかかわらず(http://www.sph.uth.tmc.edu/Retnet/home.htm),有効な治療法はない。これらの疾患モデル動物を用いた研究では,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),脳由来神経栄養因子(BDNF)などの増殖因子,神経栄養因子の遺伝子導入により,視細胞の変性を抑制できることが確認されている1,2)。このような背景から,筆者らはbFGFやBDNF遺伝子を導入した細胞の移植による治療の可能性を検討してきた。ここでは詳細な結果について省略するが,視細胞変性保護に有効な結果を得3~5),現在はヒトへの応用へ向け倫理委員会にて審議中である。
しかし,これらの方法は視細胞変性を保護するものであって,視細胞を再生させるものではない。完全に失われた視細胞の機能を再生し,視機能を再建する方法として,ES細胞を用いた視細胞再生6,7)や人工網膜チップの利用などが検討されている。ここでは,特に当研究室で現在,臨床応用へ向け研究中である人工網膜チップを用いた視機能再建について紹介する。
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