文献詳細
文献概要
特集 眼科における最新医工学 II.視機能再生工学 人工視覚
(3)光電変換色素を使った人工網膜試作品の開発―岡山大学方式の人工網膜
著者: 松尾俊彦1
所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野
ページ範囲:P.118 - P.122
文献購入ページに移動はじめに
網膜には,光を細胞膜の電位差に変換する視細胞がある。この視細胞が障害される疾患としては,網膜色素変性症などの先天性疾患と,糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの後天性疾患がある。これらの疾患では,視細胞は死滅しているが,網膜の他の神経細胞は残っており,残存神経細胞を電気的に刺激すれば,ある程度の視力が得られる可能性が高い。
しかし現在,人工内耳はすでに実用化されているが,人工網膜はいまだ開発段階で,アメリカで数人の患者に試験的に使われているにすぎない。また諸外国,日本で他の研究グループが開発を進めている人工網膜は,基本的に光を電流に変換する光ダイオードが使われており,その大きさ,感度,生体適合性,起電力供給の面で問題がある。筆者らは,このような問題を解決するため,光ダイオードの代わりに,光を電位差に変換する光電変換色素という分子を使った人工網膜を開発している。
網膜には,光を細胞膜の電位差に変換する視細胞がある。この視細胞が障害される疾患としては,網膜色素変性症などの先天性疾患と,糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの後天性疾患がある。これらの疾患では,視細胞は死滅しているが,網膜の他の神経細胞は残っており,残存神経細胞を電気的に刺激すれば,ある程度の視力が得られる可能性が高い。
しかし現在,人工内耳はすでに実用化されているが,人工網膜はいまだ開発段階で,アメリカで数人の患者に試験的に使われているにすぎない。また諸外国,日本で他の研究グループが開発を進めている人工網膜は,基本的に光を電流に変換する光ダイオードが使われており,その大きさ,感度,生体適合性,起電力供給の面で問題がある。筆者らは,このような問題を解決するため,光ダイオードの代わりに,光を電位差に変換する光電変換色素という分子を使った人工網膜を開発している。
掲載誌情報