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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻11号

2005年10月発行

文献概要

特集 眼科における最新医工学 II.視機能再生工学 人工視覚

(6)人工視覚の実験に用いる動物モデル

著者: 近藤峰生1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器外科学講座

ページ範囲:P.136 - P.141

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はじめに

 新しいタイプの人工視覚が開発されると,それをヒトに近い大きな眼球を有する動物に実際に移植するという実験が必要になる。その場合,単に人工視覚の安全性のみを評価したいのであれば正常な動物に対する移植実験でよい。しかし,失明した動物に再び視覚を獲得させるという,より臨床に近い実験となると,広範囲に視細胞の変性を有する動物モデルが必要になる。

 欧米では自然発症の網膜色素変性イヌやネコの系統が維持されており1~3),また遺伝子改変により網膜色素変性ブタ4)の作製にも成功している。例えば,Humayunらは,彼等の開発した網膜上電極を失明した網膜色素変性イヌに移植し,移植後にVEP(visual evoked potential:視覚誘発電位)が記録できたことを確認している5)。このような実験は実際の臨床に入る前段階の実験として重要なステップといえる。しかしながら,このような視細胞変性の大型動物は貴重であるためにわが国で入手することは困難である。わが国においても網膜色素変性動物の作出,供給システムが必要である。

 本項では,人工視覚の移植実験のために必要と考えられる中~大型動物の視細胞変性モデルの作製について,従来の方法と筆者らの試みについて述べたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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