文献詳細
特集 眼科における最新医工学
II.視機能再生工学 前眼部の再生工学
文献概要
はじめに
眼表面疾患の治療は,眼表面の細胞生物学的研究とともに発展してきた。まず,角膜上皮の幹細胞は角膜の周辺部の輪部に存在することが明らかにされ(図1)1,2),熱傷,アルカリ外傷やStevens-Johnson症候群などのオキュラーサーフェスの疾患は,角膜上皮幹細胞が消失している疾患群と理解されるようになった(図2)3)。したがって,これらの疾患の治療として,角膜上皮幹細胞を供給することが基本と考えられるようになり,アイバンク眼を用いた同種輪部移植が開発された4,5)。しかし,同種輪部移植は同種組織に起因する拒絶反応が問題となり,満足できる長期成績は得られていない。
このような背景で生まれてきたのが患者自身の上皮細胞を用いた培養角膜上皮移植である3)。筆者らも独自の方法で培養上皮幹細胞移植の開発を進めてきた。このような再生医療を臨床へ応用することにより,拒絶反応やドナー不足などの現代の移植医療の根本的問題を克服することができる(図3)。本項では,筆者らが開発した自家培養上皮細胞シート移植法の基礎研究と臨床応用の一部を紹介する。
眼表面疾患の治療は,眼表面の細胞生物学的研究とともに発展してきた。まず,角膜上皮の幹細胞は角膜の周辺部の輪部に存在することが明らかにされ(図1)1,2),熱傷,アルカリ外傷やStevens-Johnson症候群などのオキュラーサーフェスの疾患は,角膜上皮幹細胞が消失している疾患群と理解されるようになった(図2)3)。したがって,これらの疾患の治療として,角膜上皮幹細胞を供給することが基本と考えられるようになり,アイバンク眼を用いた同種輪部移植が開発された4,5)。しかし,同種輪部移植は同種組織に起因する拒絶反応が問題となり,満足できる長期成績は得られていない。
このような背景で生まれてきたのが患者自身の上皮細胞を用いた培養角膜上皮移植である3)。筆者らも独自の方法で培養上皮幹細胞移植の開発を進めてきた。このような再生医療を臨床へ応用することにより,拒絶反応やドナー不足などの現代の移植医療の根本的問題を克服することができる(図3)。本項では,筆者らが開発した自家培養上皮細胞シート移植法の基礎研究と臨床応用の一部を紹介する。
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