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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻11号

2005年10月発行

文献概要

特集 眼科における最新医工学 III.治療への応用

遺伝子導入による細胞工学と治療への応用

著者: 阿部俊明1

所属機関: 1東北大学創生応用センター細胞治療開発分野

ページ範囲:P.256 - P.260

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はじめに

 医工学の発達は,医療に革命的な改善をもたらしてきた。皮膚,血管,骨などの代用品としての利用,人工関節,生体組織置換型人工硬膜,自己細胞の増殖の基盤になるスキャロップの提供などはその代表例であり,各領域別に取り上げればきりがない。また神経細胞を例に取り上げれば,ニューロニクスと呼ばれる神経科学と微細加工技術の融合が研究され,個々の神経細胞は特殊に加工された培養プレート上で神経回路網を形成することができ,神経伝達の解析に利用されたりしている。眼科領域では,電気刺激で網膜細胞を刺激し神経細胞としてのシグナルを作り出そうとする人工網膜なども,その代表例といえる。

 さて,本項にある遺伝子導入が“眼科領域の最新の医工学”という内容に関与する形としては,まず遺伝子導入によってもたらされる細胞工学が挙げられる。細胞工学というと,この領域では胚性幹細胞を利用した再生医療を連想されがちであるが,後述するように体細胞を利用した組織修復,あるいは組織の機能維持の足がかりなどにすることにも利用されている。遺伝子を導入された細胞は,導入された遺伝子発現の影響を受け細胞全体が共鳴して反応するために,その細胞が置かれた局所の環境に影響を与え,局所の組織再生にも重要な影響を与えると考えられる。

 ここでは,遺伝子導入した細胞がもたらす効果と,遺伝子工学を利用して作製した細胞が眼疾患の治療に利用できる可能性を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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