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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻12号

2005年11月発行

臨床報告

臨床症状を欠いたため診断に苦慮したうっ血乳頭の1例

著者: 二階堂潤12 保倉透1 平本裕盛1 西信昭子1 神本英徳1 北村拓也1 今泉正仁1

所属機関: 1市立吹田市民病院眼科 2関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1883 - P.1888

文献概要

59歳男性に全身痙攣が起こり,心房粗動,多発性脳硬塞,閉塞性動脈硬化症の診断で内科に入院し,その半月後に眼科を受診した。両眼とも,視力,眼圧,瞳孔反応,限界フリッカー値(CCF)はいずれも正常範囲であり,相対性求心性瞳孔障害(RAPD)は陰性であった。両眼に視神経乳頭腫脹があった。画像検査で占拠性病変や脳室拡大がなく,乳頭腫脹と関係する臨床症状がなかったので,脳脊髄圧の検査は行われなかった。1か月半後の腰椎穿刺による脳脊髄圧検査では初圧が300mm H2Oであり,脊髄液の組成は正常であった。その後の造影検査で上矢状静脈洞血栓症に続発した偽脳腫瘍が推定された。腰椎穿刺後うっ血乳頭は急速に改善し,20か月後の現在まで良好な視機能を維持している。臨床症状を欠き,画像検査で脳室拡大などがなくても,うっ血乳頭は偽脳腫瘍による可能性がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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