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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻13号

2005年12月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

サイトメガロウイルス網膜炎発症を機にAIDSが明らかになった1例

著者: 飛鳥田有里1 西田朋美1 伊藤良樹1 滝山直昭1 伊藤典彦1 林清文1 上田敦久2 樋口亮太郎3 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室 2横浜市立大学医学部第一内科学教室 3横浜南共済病院眼科

ページ範囲:P.1975 - P.1980

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42歳女性が2週間前からの左眼霧視で受診した。10か月前に帯状疱疹に罹患し,4年前に夫と死別した。矯正視力は左右とも1.2であり,左眼底に広範な網膜出血と耳側に滲出斑があった。左眼前房水からサイトメガロウイルス(CMV)DNAが検出され,CMV網膜炎と診断した。血液中のCD4陽性細胞数が減少し,抗HIV抗体が陽性で,AIDSの診断が確定した。ガンシクロビルの点滴でCMV網膜炎が沈静した後,抗HIV多剤併用療法を行った。CD4陽性細胞数の回復に伴い,immune recovery uveitisと考えられる硝子体混濁と黄斑浮腫が生じた。硝子体混濁は自然寛解し,黄斑浮腫は副腎皮質ステロイド剤の球後注射で改善した。抗HIV多剤併用療法を開始した時点でのCMV網膜炎の活動性が,immune recovery uveitisの発症とその重篤度に関与している可能性がある。CMV網膜炎を初発症状としたAIDSの1例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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