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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻3号

2005年03月発行

文献概要

臨床報告

内頸動脈内膜剝離術後に増悪した血管新生緑内障の1例

著者: 高木麻起子1 植木麻理1 河原彩1 杉山哲也1 池田恒彦1 稲毛和2 小川竜介3

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2末光・稲毛クリニック 3大阪医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.349 - P.352

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59歳男性が右眼視力低下で受診した。22年前に糖尿病と診断され,3年前に心筋硬塞があった。矯正視力は右眼0.4,左眼1.2であり,眼圧は右眼30mmHg,左眼18mmHgであった。右眼の虹彩と隅角に新生血管があり,全周の80%に周辺虹彩前癒着(PAS)があった。眼底には点状出血が散在し,蛍光眼底造影で右眼の腕-網膜循環時間が32秒と延長していた。眼虚血症候群を疑い,精査の結果,右内頸動脈に99%狭窄が発見された。薬物投与と光凝固で右眼眼圧は18mmHgに下降した。右眼に中心暗点が生じ,視力は0.04になった。左上下肢の脱力発作が頻発するようになり,右内頸動脈内膜剝離術を行った。術直後から右眼圧が45mmHgに上昇し,線維柱帯切除術が行われた。内頸動脈狭窄に広範な虹彩前癒着と新生血管緑内障が続発しているときには,内頸動脈内膜剝離術後の血流増加で急激な眼圧上昇が起こりうるので注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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