特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (2)
学会原著
手持ち型網膜投影式視覚補助装置の読字能力
著者:
戒田真由美12
前田純3
井上浩二2
村澤牧子2
山口真2
中村肇3
高橋秀也4
小林勝5
志水英二6
白木邦彦2
所属機関:
1大阪市立北市民病院眼科
2大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学教室
3大阪市立大学大学院医学研究科医学情報医療経済研究室
4大阪市立大学大学院工学研究科電気工学
5科学技術振興機構プレベンチャー事業
6宝塚造形芸術大学
ページ範囲:P.437 - P.440
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手持ち型の網膜投影式視覚補助装置を試作し,低視力者の読字能力を,既存のフェイスマウント型ビデオディスプレイ式拡大読書器と比較検討した。低視力者13名が本研究に参加した。年齢は57~82歳(平均70歳)であり,矯正視力は0.01~0.3(平均0.04)であった。コンピュータに接続した装置を通してひらがな文字を見てもらい,20秒間に読めた文字数を計測した。文字の大きさは400から28ポイントまで順次小さくしていった。その結果,両装置間で最大読書速度はほぼ同じであり,臨界文字サイズは本装置では対照よりも小さく,最小のポイントで読めた文字数は本装置のほうが多かった。以上,本装置は低視力者の視覚補助装置として,既存の装置と同等またはそれ以上に有用であると評価される。