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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻5号

2005年05月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

脈絡膜原発悪性黒色腫の臨床病理学的検討

著者: 加瀬諭1 吉田和彦1 齋藤航1 南場研一1 辻野奈緒子1 村松昌裕1 古館直樹1 大野重昭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座視覚器病学分野

ページ範囲:P.705 - P.709

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目的:脈絡膜原発悪性黒色腫で眼球摘出術を行った症例の病理学的所見の報告。症例と方法:過去4年間に脈絡膜原発悪性黒色腫と診断した4例4眼。29歳男性,50歳女性,62歳男性,66歳女性である。摘出した眼球を4%パラフォルムアルデヒドで固定し,パラフィン包埋と薄切を行い,未染標本を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色と脱メラニン後にヘマトキシリン染色を行った。所見:全例に胞状網膜剝離があり,1眼は全剝離であった。腫瘍径は13×13mmから25×25mmの間にあった。視力低下の自覚から眼球摘出までの期間は2~9か月であり,期間が長い症例では短い症例よりも腫瘍が大きく病期が進行する傾向があった。どの症例にも腫瘍部に多量のメラニンが沈着していた。脱メラニンを行うことで腫瘍細胞の形態学的観察が容易になり,核分裂像も観察できた。2例では紡錘型の核を有する腫瘍細胞が目立ち,他の2例では類上皮型の腫瘍細胞が混在していた。結論:脈絡膜原発悪性黒色腫は,日本では頻度が低い眼腫瘍であるが,今後の症例の蓄積と臨床病理学的解析が重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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