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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻6号

2005年06月発行

文献概要

臨床報告

単発転移巣としての眼窩内腫瘍から発見された乳癌の1例

著者: 中泉知子1 辻英貴2 堀内啓3

所属機関: 1三郷順心総合病院眼科 2癌研究会附属病院眼科 3NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.991 - P.996

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48歳女性が7週前からの右上顎頰部,下眼瞼にかけての腫脹と硬結で受診した。右の下眼瞼は板状硬で可動性がなく,全方向に眼球運動制限が認められたが眼球突出はなかった。画像診断で右眼窩内側に腫瘤があった。以前からあった副鼻腔炎の治療を兼ね眼窩腫瘍生検を行った。病理診断は「印環細胞を伴う腺癌」であった。全身の精査で,左乳腺に21mm×15mmの腫瘤が発見された。単純乳房切除術を行い浸潤性小葉癌の診断が得られた。眼窩内腫瘍と乳癌の病理像は酷似し,免疫組織学的にエストロゲンレセプター,プロゲステロンレセプター,GCDFP-15がともに陽性であったことから乳癌の眼窩内転移と診断した。眼窩内転移への放射線療法が拒否されたので,手術後はホルモン療法を行っている。以後20か月の間,眼窩腫瘍の進行はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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