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連載 日常みる角膜疾患28
神経麻痺性角膜症
著者: 近間泰一郎1 川本晃司1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.1036 - P.1039
文献購入ページに移動患者:48歳,女性
主訴:左眼の充血,視力障害
現病歴:1996年2月15日に左三叉神経痛に対して神経血管減圧術を受け,術後約1か月頃より上記症状を自覚し,近医を受診した。角膜の知覚低下および遷延性角膜上皮欠損を認めたため神経麻痺性角膜症と診断された。フィブロネクチン点眼および抗生剤の点眼や眼軟膏および強制閉瞼により加療されいったん軽快していたが,強制閉瞼を解除すると上皮欠損が再発してくるため,精査および加療目的で1996年6月5日,当科を紹介され受診となった。
初診時所見:視力は右眼1.0(矯正不能),左眼0.2(矯正不能),眼圧は右眼10mmHg,左眼6mmHgであった。左眼に軽度の結膜充血および角膜中央部に高度の点状表層角膜症(SPK,AD分類:A2D3)を伴った角膜びらんがみられた(図1)。前房内に炎症所見はなく,中間透光体,眼底には特に異常所見はみられなかった。角膜知覚検査では,左眼角膜の著しい知覚低下を認めた(右眼50mm,左眼10mm以下)。涙液分泌試験(シルマーⅠ法)では両眼ともに涙液分泌の低下は認められなかった。眼位,眼球運動および開瞼・閉瞼などの眼瞼機能は正常であった。
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