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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻7号

2005年07月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (5) 学会原著

サイトメガロウイルス網膜炎発症を契機にHIV感染症が発見された1症例

著者: 正木究岳1 高島保之1 奥平晃久1

所属機関: 1西神戸医療センター眼科

ページ範囲:P.1085 - P.1088

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54歳男性が両眼の網膜炎で紹介され受診した。8か月前に帯状疱疹を発症し,微熱が続き,極端な体重減少があった。過去5年間に中国とタイへの渡航歴があった。矯正視力は右眼0.2,左眼0.03であり,両眼に前部ぶどう膜炎,硝子体混濁,眼底の黄色白色滲出斑と血管炎があった。血漿と房水のサイトメガロウイルス(CMV)-DNAが著明に増加し,全身検索でヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体が陽性であった。HIV網膜炎と診断した。汎血球減少があり,骨髄抑制がないとされるホスカルネットによる抗CMV療法を行ったのち,HIVに対するhighly active antiretroviral therapy(HAART)を開始した。抗CMV療法は3週後にガンシクロビル内服に切り替えた。血中HIVウイルス量が減少し,1か月後に測定限界以下になった。CMV網膜炎は鎮静化し,発症から12か月後の現在まで再発はなく,右眼0.3,左眼0.1の矯正視力を維持している。CMV網膜炎を契機としてHIV感染が発見され,治療が奏効した症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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