特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (5)
学会原著
緑内障眼の白内障手術術後眼圧変化
著者:
加賀郁子1
稲谷大1
柏井聡1
所属機関:
1大阪赤十字病院眼科
ページ範囲:P.1131 - P.1133
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目的:緑内障眼に白内障手術を行った後の眼圧変動の検討。症例と方法:過去7年3か月間に白内障手術を行った原発開放隅角緑内障(POAG)92眼と落屑症候群40眼を対象とした。全例が点眼による術前眼圧が21mmHg以下で,平均眼圧はPOAG群では15.6±3.0mmHg,落屑症候群では14.9±2.7mmHgであった。白内障手術では,すべて超音波水晶体乳化吸引と眼内レンズ挿入を行った。3か月以上,平均29か月の術後経過観察を行った。結果:術後の最終眼圧は,POAG群では16.0±5.1mmHgであり,術前値と有意差がなかった(p=0.44)。落屑症候群では13.1±3.1mmHgであり,術前よりも低下していた(p=0.0013)。術後の眼圧コントロール不良は,POAG群で9眼,落屑症候群で1眼あった。これら10眼では,コントロール良好眼よりも術前眼圧値が有意に高く,後囊破損の合併が有意に多かった。結論:落屑症候群では白内障手術後に眼圧が低下する。POAGと落屑症候群で術後眼圧が上昇する危険因子は,術前の高眼圧と術中の後囊破損である。