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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻7号

2005年07月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (5) 学会原著

角膜異物を契機として心因性視力障害をきたしたブラジル国籍成人の2症例

著者: 山田晴彦1 山田英里2

所属機関: 1有澤総合病院眼科 2山田眼科医院

ページ範囲:P.1163 - P.1167

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角膜異物後の視力障害がブラジル国籍の男性2名に起こった。年齢は44歳と35歳である。1例は右眼の視力障害で受診し,矯正視力は右眼0.04,左眼1.0であった。右眼に+4.75D,左眼+3.5Dの遠視があり,遠視が右眼の視力障害の原因と判断した。その後左眼に金属異物が飛入し,その翌日に受診した。異物を除去した数日後に左眼矯正視力が0.08に低下した。作業場でストレスがあり,これによる心因性視力障害と診断した。就労関係の問題が解決され,受傷から6か月後に視力は1.0に回復した。他の1例は右眼角膜異物で受診した。その1か月後の矯正視力は右眼0.9,左眼1.2であったが,頭痛などの問題から就労を拒否された。さらに2か月後に矯正視力は右眼0.2,左眼0.15になった。ゴールドマン視野測定で管状視野が検出された。日本人妻との問題が関係する心因性視力障害と診断した。その後家庭内問題が解決し,視力は左右眼とも1.0に回復した。2症例とも外国人であり,日本語が不自由なために心的ストレスが生じ,心因性視力障害になったと判断した。視力障害の回復にはカウンセリングが寄与した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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