臨床報告
改良版アデノチェック(R)の臨床的検討
著者:
有賀俊英1
三浦里香2
田川義継1
大橋勉3
中川尚4
岡本茂樹5
日隈陸太郎6
安里良盛7
金子久俊8
石古博昭2
青木功喜1
大野重昭1
所属機関:
1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座視覚器病学分野
2三菱化学ビーシーエル研究開発部
3大橋眼科
4徳島診療所
5幸塚眼科
6日隈眼科
7安里眼科
8福島県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1183 - P.1188
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免疫クロマトグラフィでヒトアデノウイルス(HAdV)を迅速に診断するキットとして,アデノチェックTMが1997年に開発された。特異度は優れているが,感度がやや低いために,その改良版が試作された。現行版と改良版について,その感度を比較した。対象はウイルス性結膜炎が疑われた患者の結膜擦過物102検体のうち,分離培養でHAdVが証明された68検体である。アデノチェックTM現行版で33検体(48.5%),改良版で50検体(73.5%)が陽性であり,有意差があった(p<0.01)。現行版と改良版がともに陽性であった32例でのウイルスコピー数は3.1×107コピー,改良版陽性で現行版陰性の18検体では3.4×106コピー,両者ともに陰性の17検体では1.7×105コピーと有意にコピー数が減少した。改良版のほうがコピー数が有意に低い検体でも検出が可能であった。改良版アデノチェックTMは現行版より感度が高いと結論される。