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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻8号

2005年08月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

硝子体手術時にインドシアニングリーンの網膜下迷入を生じ長期間経過観察できた1例

著者: 村上智貴1 山下啓行1 山田喜三郎1 松本惣一セルソ1 古嶋正俊1 中塚和夫1

所属機関: 1大分大学医学部脳神経機能統御講座感覚運動医学分野・眼科学

ページ範囲:P.1263 - P.1266

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目的:硝子体手術中にインドシアニングリーン(ICG)が網膜下に迷入し,34か月間経過を追跡した症例の報告。症例:86歳女性の左眼に黄斑前膜と黄斑円孔があり,広さ2乳頭径の網膜剝離が併発していた。矯正視力は0.2で,強い屈折異常はなかった。経過:超音波水晶体乳化吸引術,硝子体手術,眼内レンズ挿入術,液空気置換を行った。網膜剝離は復位せず,2週間後に再び硝子体手術を行った。内境界膜をICGで染色した際にICGが円孔から網膜下に迷入し網膜剝離が拡大した。ただちに網膜下腔を繰り返し灌流した。網膜は復位し黄斑円孔は閉鎖した。網膜下のICGは境界明瞭な緑色を呈し自発蛍光を発していた。3か月後に境界鮮明な網膜萎縮になった。光干渉断層計(OCT)で網膜が菲薄化していた。ERGの振幅が減弱し,視野は固視点を含む鼻側半分が欠損していた。34か月の現在,矯正視力は0.02である。結論:網膜下に迷入したICGは長期間残存し,重篤で永続的な網膜色素上皮と感覚網膜の障害が生じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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