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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻8号

2005年08月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

前囊染色インドシアニングリーンが硝子体中に迷入した1例

著者: 三宅太一郎1 三田実千代1 目加田篤2

所属機関: 1公立甲賀病院眼科 2滋賀医科大学附属病院眼科学教室

ページ範囲:P.1317 - P.1320

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目的:白内障手術中に多量のインドシアニングリーン(ICG)が硝子体に迷入した症例の報告。症例:52歳男子で,4年前に右眼の網膜剝離手術を受けている。右眼の皮質白内障が進行し視力が0.03になり,白内障手術を受けた。角膜内皮細胞数は術前2,739/mm2であった。結果:手術では前房を粘弾性物質で置換し,ICG溶液を前房に注入した。前房を洗浄し,前房に粘弾性物質を再注入してソフトシェル法下で前囊を切開し,超音波白内障吸引術を行った。その際に瞳孔の奥が暗く,倒像鏡で眼底の透見が困難であり,ICGが硝子体に迷入したことが確認できた。硝子体手術でICGで染色された硝子体をほぼ完全に切除した。ICGによる網膜の染色はなかった。術後3日目に1.5の矯正視力を得た。以後18か月後の現在まで,白色閃光による網膜電図と視野に異常はなく,角膜内皮細胞数は2,517/mm2である。結論:硝子体にICGが迷入したことで,視力を含む経過には18か月間異常が起こらなかった。硝子体に迷入したICGは0.5mgであったと推定される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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