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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻8号

2005年08月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

大量の前房出血をきたし予後不良であった特発性頸動脈海綿静脈洞瘻の1例

著者: 大野克彦1 三好和1 吉村浩一1 山川良治1 広畑優2

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学講座 2久留米大学医学部脳神経外科学講座

ページ範囲:P.1381 - P.1384

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64歳女性の右眼に充血と疼痛が生じ,脳神経外科でBarrow C型の特発性頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)と診断された。上眼静脈が動脈血の唯一の流出路であった。術前の矯正視力は右0.4,左1.2であり,眼圧は右30mmHg,左20mmHgで,両眼に単純糖尿病網膜症があった。経カテーテル動脈塞栓術でシャントは消失した。1か月後に右眼圧が上昇し,網膜中心静脈閉塞症が併発し,シャントの再発と上眼静脈への動脈血流入が発見された。再度の動脈塞栓術,さらに5か月後にガンマナイフ治療を行った。その1か月後に右眼圧が急上昇した。虹彩と隅角にルベオーシスはなかった。前房出血が生じ,線維柱帯切除術などを行ったが,低眼圧となり最終視力が手動弁になった。CCFによる眼静脈圧の上昇と,眼窩内静脈の血栓化が眼病変悪化の原因であると推定される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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