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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻8号

2005年08月発行

文献概要

連載 他科との連携

「はやりめ」の危機管理

著者: 澤口昭一1

所属機関: 1琉球大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1390 - P.1391

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沖縄の「はやりめ」

 沖縄では気候が1年中温暖なせいか(1月に桜が咲きます)流行性角結膜炎の発症は通年性であり,南部(糸満や豊見城方面)で流行が収まってほっとしていると,次は中部(沖縄市,浦添市)が感染地帯になります。それが収束するころには北部(名護,宜野座)が始まるといった具合で,もぐらたたきのような出方,広がりをみせます。県内全体が収束していることはむしろ稀であり,日常の外来診療や,外勤帰りの病棟の診察には特に神経質になるほど気を遣って診療にあたる必要があります。普通の本土の病院では起こりえないことがここ沖縄では起こっているのです。新潟にいたころはせいぜい数年(5~10年)に1回の院内感染でした(私が奉職した18年間で2回記憶しています)。しかも季節は主に初夏で,ちょうどプールが始まる頃に流行が始まりその頃にたまたま病棟閉鎖が発生する程度でした。しかし,沖縄ではこれがほぼ毎年のように発生し,病棟閉鎖が繰り返されています。

 これまでのこの結膜炎の感染経路で明らかになったのは,①患者が深夜,救急外来を受診し,当直の若い眼科医が病棟で診察したために,その後病棟での感染が広がった,②網膜剥離で緊急手術が必要であると紹介された患者が感染していた,③外勤帰りの若い医師が入院患者の診察を行って広めた(夏期休暇没収),④眼科の入院患者の見舞いに来た見舞客の眼が赤かったのが後でわかった,⑤保育園園児を持っている職員が子供から感染していた,などですが,かなりの感染源は医療従事者が関係していることも明らかでした(そうでないことも多いが)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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