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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻9号

2005年09月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (7) 学会原著

網膜下新生血管を合併した光毒性網膜症の1例

著者: 平林倫子1 河野剛也2 安宅伸介2 三木紀人2 菱田英子2 埜村史絵2 山口真2 白木邦彦2

所属機関: 1東生駒病院眼科 2大阪市立大学大学院視覚病態学

ページ範囲:P.1555 - P.1559

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目的:車のヘッドライトの凝視により光毒性網膜症が発症し,その経過中に網膜下新生血管が生じた症例の報告。症例と経過:55歳男性がゆっくり近づいてきた車のヘッドライトを約20秒間凝視した。その2週間後に両眼の充血,眼痛,視力低下が起こり受診した。矯正視力は右眼0.15,左眼0.7であった。右眼黄斑部に網脈絡膜変性,左眼中心窩の鼻側にフィブリン析出と漿液性網膜剝離があった。フルオレセイン蛍光眼底造影で,右眼には網脈絡膜萎縮に相当する所見,左眼には中心性漿液性網脈絡膜症に類似する所見が得られた。1週後からプレドニゾロン30mgの内服を開始した。左眼の網膜剝離は初診の3週後に消失したが,その1週後に網膜下出血が以前フィブリン析出があった部位に生じた。さらに7週後,漿液性網膜剝離が再び生じ,視力が0.15に低下した。蛍光眼底造影で網膜下新生血管網が検出された。光凝固を行い,3か月後に漿液性網膜剝離は消失した。初診から1年後に左眼視力は1.0に回復した。結論:光毒性網膜症では,経過中に漿液性網膜剝離の滲出点に網膜下新生血管網が発症することがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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