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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科59巻9号

2005年09月発行

文献概要

特集 第58回日本臨床眼科学会講演集 (7) 学会原著

炭酸脱水酵素阻害薬点眼後に不可逆的な角膜浮腫をきたした1例

著者: 安藤彰1 宮崎秀行1 福井智恵子1 南部裕之1 松村美代1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1571 - P.1573

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82歳女性が12年前に白内障と開放隅角緑内障の同時手術を受けた。7年前に右眼の眼圧が不安定になり,β遮断薬を点眼していた。両眼とも視力は正常で,眼圧は右眼21mmHg,左眼18mmHgであった。右眼に炭酸脱水酵素阻害薬であるブリンゾラミド点眼を1日2回開始した。その1週後から点眼直後に右眼の霧視を自覚していた。点眼開始から1か月後の再診時に,右眼視力は矯正0.5,右眼眼圧は12mmHgであり,右眼の角膜に上皮浮腫,実質混濁,デスメ膜の皺襞形成があった。角膜内皮細胞密度は,右眼1,161/mm2,左眼1,312/mm2であった。ブリンゾラミド点眼をやめ,さらに2か月後にほかの眼圧降下薬の点眼を中止した。点眼中止から12週後まで,角膜上皮と実質の浮腫が続き,自覚症状と視力は回復していない。12年前の内眼手術で角膜内皮細胞数が減少し,さらに炭酸脱水酵素阻害薬の点眼が残存角膜内皮の機能を障害したことが,角膜浮腫の原因になったと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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