臨床眼科6巻10号

1952年10月発行

臨床實驗

眼球内鉛彈摘出成功例

著者： 河野辰雄¹ 白井仲¹

所属機関： ¹日大眼科

ページ範囲：P.760 - P.761

　硝子體異物の中鉛の竄入は概ね散彈か小銃彈によるものでありますが，本邦文献ではその摘出例は少なく，河本教授は散彈が右眼角膜耳側縁から入り，「レ」線像で水晶體後面の稍々下方に陰影を認め下直筋の腱を切斷後，鞏膜に横切開を加え鑷子にて容易に摘出したと報告され，又繼氏は長經，13粍，短經4.5〜6.5粍の不正半状管の鉛を摘出し後化膿性炎症を起し眼球を摘出したと報告されています。
　吾々は獵銃の散摘が左眼耳側球結膜より第1圖の如く鞏膜を貫通し鞏膜後壁で反撥され，硝子體内に止まつた異物の摘出に成功致しましたので報告致します。