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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科6巻7号

1952年07月発行

文献概要

綜説

亂視について

著者: 佐藤勉1

所属機関: 1順天堂医科大学

ページ範囲:P.515 - P.522

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1)亂視の名稱について
a)乱視に正乱視と不正乱視がある.この名は大変惡い.正,不正という言葉を眼科だけでは規則的,不規則的という意味に解するという独善的な態度は科學の一部門として正しい態度ではない.正,不正という言葉は眼科學においても社会通念や一般科学と共通な意味,すなわち道徳的な意味に用い,乱視の分類に際しては,with rule, wi-thout ruleに相当する表現を用いなければならぬ.たとえば整,不整,規則的,不規則的,というような術語を使用すべきである.
b)いわゆる二重乱視と呼ばれるもの,すなわち,その矯正に軸を斜に交えた2枚の圓柱レンズを必要とする乱視は存在しない.角膜乱視であろうと,水晶体性であろうと,あるいはまた両方の合併であろうと,正亂視ならば圓柱レンズは1枚しか要らぬ.しかし不整亂視と正亂視の移行型とも見るべき兩主徑線が直角でない亂視は有り得る.レチノスコープやレフラクトメターを注意して詳しくやつてみると,どうも兩主徑線が幾分斜に交つて居るのではないかと思う屈折状態に出会う事が有る.これは嚴重に云えば,不規則亂視に属すべきものであつて,圓柱レンズでは完全に矯正されない.しかしこの場合といえども2枚の圓柱レンズを用いる事は無意味である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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