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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科6巻7号

1952年07月発行

文献概要

臨床實驗

トラコーマに就て

著者: 金田利平1

所属機関: 1札幌天使病院眼科

ページ範囲:P.530 - P.532

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 トラコーマ(以下トと略記す)は一定の病原體によつてのみ感染發病する眼病であろうか。あらゆる點に於て不可解であり,本態の頑冥極まりなき事を一元的に解決せんとするは無理でなかろうか。私は決して濾過性病毒(以下Virusと記す)をトの原因とする説を否定などしない,ある種のVirusによつて感染發病するトも存在するでしよう。吾々が日常最も多く診療する急性結膜炎は細菌性のものだがVirusの感染によつて發病する急性結膜炎もあろう。眼科ではVirusによる結膜炎の解決は全くなされておらない。Virusによつて發病する結膜炎の問題は現在でも暗中模索の状態であるといつても過言ではない,今後急速に解決されるでしようがVirtsによる結膜炎が解決されしかる後トも決定的段階に到着すべきものでなかろうか。私はトを種々の方面より考究し次の如き結論に到達した。
 一定の病原體を唱う論者のト病原體が絶對に混合感染しない樣にして,滿2歳前後の結核に罹患しておらない,皮膚病等のない,健康な(結膜に濾胞を認められる者で各種豫防注射を受けておらぬ者であれば尚更結構)幼少兒を少なくとも50名多ければ多い程よし,此等多數の幼少兒を一定の場所に密集生活せしめ,その生活環境を不潔としコツホ・ウイークス氏桿菌(以下コ・ウ菌と略記し本菌による結膜炎をコ・ウ結膜炎と略記す)か又肺炎球菌を全幼少兒に一せいに人工的に感染し急性の結膜炎を發病せしめ治療せず放置してみて下さい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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