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連載 日常みる角膜疾患34
急性水腫
著者: 寺西慎一郎1 川本晃司1 近間泰一郎1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.14 - P.16
文献購入ページに移動患者:23歳 男性
主訴:左眼視力低下
現病歴:17歳の頃から羞明・視力低下を自覚し近医を受診していた。左眼の円錐角膜を指摘され,ハードコンタクトレンズを処方され経過観察されていた。23歳時には右眼にもハードコンタクトレンズを処方された。2002年11月,左眼の急激な視力低下が出現した。1週間経過しても改善しないため当科を受診した。
既往歴・家族歴:兄が円錐角膜
初診時所見:視力は右眼1.0(1.2),左眼0.01(矯正不能),眼圧は右眼10mmHg,左眼10mmHgであった。右眼角膜には特に異常所見は認められなかったが,左眼角膜中央部は下方に偏位・突出し先端部の実質は著しく菲薄化し角膜実質浮腫を伴っていた(図1a)。フルオレセイン染色では突出部の角膜上皮の欠損はみられなかったが,混濁部に一致してフルオレセインをはじいている暗点(上皮下浮腫)を認めた(図1b)。前房,中間透光体,眼底に異常所見は認められなかった。Photo keratoscope(PKS)では右眼にはマイヤーリングの乱れはなかったが,左眼では中央部のマイヤーリングの不整と突出先端部に一致して偽中心をもった著しいマイヤーリングの不整を認めた。
治療経過:初診時の所見から急性水腫と診断し,特に点眼などは処方せずに経過観察を行い,角膜形状の変化を細隙灯顕微鏡検査とPKSで評価した(図2)。経過観察中,PKSでは初診時にみられた偽中心をもったマイヤーリングは消失し,本来の角膜中央部のマイヤーリングが下方に偏位する像が得られるようになり,それと並行して視力も向上した。左眼角膜の上皮下浮腫がみられなくなり,2003年5月には左眼のハードコンタクトレンズの装用を始め,視力は0.05(1.5)まで回復した。
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