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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻1号

2006年01月発行

文献概要

臨床報告

T2強調画像で等信号を呈した副鼻腔囊胞による両眼性鼻性視神経症の1例

著者: 坂本理之1 菅澤淳1 平尾真実1 江富朋彦1 奥英弘1 池田恒彦1 荒木倫利2

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2大阪医科大学耳鼻咽喉科教室

ページ範囲:P.59 - P.64

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58歳女性の右眼に視力低下が突発し,その2日後に受診した。矯正視力は右眼0.02,左眼0.3であり,右眼に中心暗点,左眼に感度低下があった。中心限界フリッカー値(C-CFF)は右眼は測定不能,左眼は13Hzであり,右眼のRAPDが陽性であった。MRIで蝶形骨洞にT1強調画像で高信号,T2強調画像で等信号の病変が検出された。蝶形骨洞囊胞による両側鼻性視神経症と診断し,経鼻腔的に蝶形骨洞の手術を行った。洞内に褐色で粘稠な粘液があった。手術の6日後からステロイドパルス療法を3日間行い,矯正視力は左右眼とも1.0に回復した。副鼻腔囊胞はT2強調画像で高信号を呈するのが通例であるが,囊胞内の粘液が濃縮していたために等信号を呈したと解釈される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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