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連載 日常みる角膜疾患43
シェーグレン症候群
著者: 川本晃司1 近間泰一郎1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科眼科学
ページ範囲:P.1730 - P.1732
文献購入ページに移動患者:63歳,女性
主訴:眼乾燥感,口腔乾燥感
既往歴・家族歴:慢性関節リウマチ
現病歴:10年来眼乾燥感を自覚していた。次第に口腔内乾燥感も自覚するようになったために近医内科を受診した。血清学的検査で抗Ro/SS-A抗体陽性であったため,シェーグレン症候群を疑われ2004年5月当科を紹介され受診した。当科受診時の視力は右0.15(0.9×S-2.00D()cyl-1.00D 150°),左0.05(0.9×S-4.00D()cyl-1.50D 50°),眼圧は右18mmHg,左20mmHgであった。眼瞼には異常所見はみられなかったが,両眼の角膜にはフルオレセインで明瞭に染色される点状表層角膜症がみられた(A2D2)(図1)。中間透光体,眼底には異常所見はみられなかった。Schirmer試験第1法では右2mm,左2mmと涙液分泌機能低下がみられた。当科における血清学的検査でも抗Ro/SS-A抗体陽性であった。
治療経過:初診時の所見,眼科的検査と血清学的検査の結果からシェーグレン症候群と診断し,人工涙液の点眼を開始した。現在も人工涙液の点眼を継続しながら定期的に当科で経過観察をしている。点状表層角膜症は現在も寛解と増悪を繰り返しているが,角膜感染症や角膜実質の融解の既往はない。
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