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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻10号

2006年10月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (8)

大きな脈絡膜悪性黒色腫の眼球保存治療後に発生した硝子体出血への硝子体手術の1例

著者: 山﨑健一朗1 鈴木仁美1 海野俊徳1 金子明博1 佐伯宏三1

所属機関: 1佐伯眼科クリニック

ページ範囲:P.1757 - P.1761

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要約 目的:脈絡膜悪性黒色腫に対して放射線照射を行い,その後に生じた硝子体出血に対し硝子体手術を行った症例の報告。症例と経過:症例は69歳女性で,22歳のとき原因不明の疾患で右眼が失明した。5か月前に霧視を契機として左眼に脈絡膜悪性黒色腫が発見された。大きさは18×12×12mmであった。立体多方向放射線照射(SMART法)により外部照射を48Gy受けた。その4か月後に硝子体出血が生じ,視力が0.4から光覚弁に低下した。その5か月後に硝子体手術が行われた。眼底が透見可能になり,視力が0.01になった。手術から5年後の現在,視力は手動弁であり,腫瘍の大きさに変化はなく,眼外転移もない。結論:脈絡膜悪性黒色腫に対して眼球保存療法を行い,その後に発症した硝子体出血に硝子体手術を行ったことで,患者の生活と視力の質が向上した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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