臨床眼科60巻10号

2006年10月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集　(8)

病院における電子カルテの眼科にとってのメリット・デメリット

著者： 辻英貴¹ 田村めぐみ¹

所属機関： ¹癌研究会有明病院眼科

ページ範囲：P.1763 - P.1768

文献概要

要約　目的：病院に導入した完全電子カルテと眼科機器統合システムの報告。方法：病床700床の癌専門病院に，新築移転を機に電子カルテシステムを導入した。眼科には眼科機器統合システムが導入された。結果：電子カルテシステムの導入により，病院各部門の収支状況と各科の稼働状況が瞬時に把握できるようになった。診療面では他科と合同で行うカンファレンスで威力を発揮した。眼科では画像の整理と検索が容易になった。その一方，本システムの導入と運用の経費が増大し，医師の診察以外の仕事量が増加して診療面では医師にかかる負担が大きくなった。結論：電子カルテシステムでは，眼科独自の部門システムを導入する必要があるが，そのためには事前の綿密な準備，特に予算確保が大切である。

参考文献

1）丸尾　亨：診療科別電子カルテのあり方．眼科外来での電子カルテのあり方．新医療　31：79-82，2004

2）盛岡京子：総合病院における電子カルテ導入にかかわる問題．あたらしい眼科　21：873-878，2004

3）日本眼科学会IT委員会電子カルテ検討委員会：大学病院および国立病院眼科における完全（ペーパーレス）電子カルテ化導入について．日眼会誌108：323-328，2004

4）東　範行：電子カルテで変わる日本の医療．77-89，インターメディカ，東京，2005

5）伊藤逸毅：総合病院における電子カルテ導入の問題点．臨眼　59：407-411，2005

6）古田　実：県立大学病院における電子カルテ導入．福島県立医科大学の場合．あたらしい眼科21：893-896，2004

7）篠崎和美：私立大学附属病院における電子カルテ導入．あたらしい眼科　21：885-892，2004