icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻10号

2006年10月発行

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (8)

色覚異常対応とされるチョークの問題点

著者: 石田文雄1 内山紀子1 土生英彦1 矢野喜正1 内山勉1 中村かおる2

所属機関: 1色覚問題研究グループぱすてる 2東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1799 - P.1803

文献概要

要約 目的:色覚異常対応とされるチョークで黒板に書いた文字の先天色覚異常者による視認性と色名認知性の報告。対象と方法:1型2色覚4名,2型2色覚5名,正常色覚5名を対象とした。年齢は19~52歳であり,矯正視力は良好であった。通常の白文字のなかに色文字を混在させ,濃緑の黒板に書いた5×5cmのローマ字列から指定する色の位置を抽出させ,色名を答えさせた。色文字には,色覚異常対応,蛍光,通常の色チョークを用いた。結果:正常色覚者はすべて正答した。2色覚者は白文字と色文字との判別が困難であった。色名呼称では,色覚異常対応と蛍光チョークは黄以外では従来型のチョークよりも誤答率が高かった。色覚異常対応チョークの赤は色覚異常者すべてが色名を誤答した。結論:先天色覚異常者にとって,色覚異常対応チョークと蛍光チョークの有用性はない。色チョークは白と黄に限定すべきである。

参考文献

1)深見嘉一郎:色覚異常の日常生活における色認識の具体例.眼科 12:644-647,1970
2)岡島 修・信太佐登子:色覚異常者の色誤認.375人に対するアンケート調査Ⅰ.臨眼 40:809-812,1986
3)中村かおる・岡島 修:学校での色覚検査に関する保護者へのアンケート調査.日本の眼科75:443-446,2004
4)西尾佳晃・久保朗子・北原健二・他:先天色覚異常者における色チョークの見え方.臨眼 57:521-525,2003
5)石田文雄・土生英彦・矢野喜正・他:正常色覚も受容しやすいカラーバリアフリーの提唱.眼臨98:61,2004
6)中村かおる・岡島 修・西尾佳晃・他:道路情報板における色彩環境のユニバーサルデザイン.臨眼 59:523-527,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら