icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻11号

2006年10月発行

文献概要

特集 手術のタイミングとポイント Ⅰ.白内障

QOL(QOV)と手術のタイミング―患者が希望する場合と医者がすすめる場合

著者: 片岡康志1 宮田和典1

所属機関: 1宮田眼科病院

ページ範囲:P.13 - P.16

文献購入ページに移動
患者が希望する場合

 患者が白内障手術を希望する場合は,その原因が白内障であれば基本的にはすべて手術適応と考える。以前,余命3か月といわれている末期肝臓癌患者の白内障手術を,親友の外科医に頼まれて行ったことがある。患者本人がどうしても亡くなる前に白内障を手術して,少しでも見えるようになりたいと希望されたそうで,親友もその熱意に負け,何とかその患者の体調を手術できる状態に管理してくれたから実現できた。手術後,体調が体調だけにベッドから移動することもできなかったが,病室の窓から見える景色がとてもきれいだと感動され,心から感謝された。残念ながら,手術後1か月で亡くなられてしまったが,「見えるってすばらしい。本当にありがとう」と言っておられたと親友から話を聞いて,涙した。この経験をしてからは,患者の希望には100%応えるべきだと思っている。

 患者の希望に応えることは,患者の希望する視力予後が得られることが前提である。白内障手術を希望する理由によく耳を傾け,その症状が白内障手術によってどこまで回復するかを十分説明することが重要である。術前の状態によっては,期待される結果が得られないこと,ないしは術前より機能が低下すること(裸眼視力,近方視力など)は十分ありうる。

 患者が白内障手術を希望する理由としては,視力低下がある場合,羞明,霧視がある場合,運転免許・仕事等に必要な視力がない場合などがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?