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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻11号

2006年10月発行

文献概要

特集 手術のタイミングとポイント Ⅰ.白内障

眼内レンズ二次挿入―どんな眼でも眼内レンズ挿入は可能か

著者: 黒坂大次郎1

所属機関: 1岩手医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.24 - P.28

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はじめに

 眼内レンズ(intraocular lens:以下,IOL)を二次挿入する機会というのは,一時に比べかなり減っている。通常の症例では,IOLの一次挿入が原則となっているためである。しかしながら,眼内レンズのパッケージを開け,説明書を取り出すと,そのなかに適応が禁忌とされている疾患が列挙されている(表1)。この禁忌症例は1987年に適応委員会が答申したもので,公的にはこの答申が現在も生きている。その後2002年8月には,日本眼内レンズ屈折手術学会から日本眼科学会理事長へ答申が行われ,禁忌項目を削除,適応を慎重にするものとして小児,先天性眼異常,角膜内皮障害,緑内障,活動性のぶどう膜炎,増殖性網膜硝子体疾患,重篤な術中合併症となっている。現在では現実との乖離があり,ほとんどの症例でIOL挿入は禁忌とは考えられなくなっている。このギャップを是正するために,現状を分析した特集も組まれている1~6)

 したがって,現状でIOLの二次挿入が行われるのは,適応には問題がなかったものの白内障手術の際に重篤な眼合併症が生じIOL挿入を控えた場合や,硝子体手術などとの同時手術でIOL挿入を控えた場合,過去の白内障手術の際にはIOLの適応がないと判断されたが,患者の状況が変化したり眼科学の進歩により適応が拡大し可能となった場合が考えられる。これらの状況での二次挿入の可能性を考えてみたい。

参考文献

1)黒坂大次郎:眼内レンズの適応を再考証する.小児・先天異常.あたらしい眼科23:141-146,2006
2)宮本和久:眼内レンズの適応を再考証する.角膜内皮障害例の白内障手術適応.あたらしい眼科23:147-152,2006
3)庄司信行:眼内レンズの適応を再考証する.緑内障眼と眼内レンズ挿入術.あたらしい眼科23:153-158,2006
4)後藤 浩:眼内レンズの適応を再考証する.ぶどう膜炎.あたらしい眼科23:159-164,2006
5)大島祐介:眼内レンズの適応を再考証する.網膜硝子体疾患.あたらしい眼科23:165-171,2006
6)柴 琢也:眼内レンズの適応を再考証する.術中合併症例に対する眼内レンズ挿入.あたらしい眼科23:173-180,2006
7)Bluestein EC, Wilson ME, Wang XH et al:Dimensions of the pediatric crystalline lens:implications for intraocular lenses in children. J Pediatr Ophthalmol Strabismus 33:18-20, 1996
8)松本長太・大月卓哉・三島 弘・他:眼内レンズが網膜下に滑落したアトピー性白内障,網膜剝離の1例.眼紀45:1185-1188,1994
9)永本敏之・平形明人:アンケート結果にみるアトピー性白内障と網膜剝離の治療上の問題点.あたらしい眼科17:1619-1628,2000
10)平形明人:アトピー性皮膚炎に伴う網膜剝離.あたらしい眼科17:1613-1618,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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