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文献概要
特集 手術のタイミングとポイント Ⅲ.網膜・硝子体
眼外傷―手術適応とそのタイミング
著者: 喜多美穂里1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学(眼科学)
ページ範囲:P.151 - P.155
文献購入ページに移動はじめに
従来,眼外傷の分類は明確ではなく,報告間の比較検討が困難であった。近年,米国で眼外傷の分類を標準化しようとの試みがなされている1,2)。その1つであるKuhnら1)の分類は,まず眼球壁の全層損傷の有無で開放性と非開放性に分け,開放性外傷を,鈍的外力によって起こる瞬間的眼圧上昇から起こる内から外への損傷であるrupture(破裂)と,鋭的外力が外から内に直達して起こるlaceration(穿孔)とに分ける,発症機序に基づいた明確なものである。lacerationはさらにpenetrating(裂傷),intraocular foreign body(眼内異物),perforating(二重穿孔)に細分される(表1)。ここでの和訳は,河野3)の定義に従った。
本稿は,眼外傷をKuhnの分類に基づいて分類し,検討した自験データを示しながら,その手術適応,タイミングなどについて解説する。
従来,眼外傷の分類は明確ではなく,報告間の比較検討が困難であった。近年,米国で眼外傷の分類を標準化しようとの試みがなされている1,2)。その1つであるKuhnら1)の分類は,まず眼球壁の全層損傷の有無で開放性と非開放性に分け,開放性外傷を,鈍的外力によって起こる瞬間的眼圧上昇から起こる内から外への損傷であるrupture(破裂)と,鋭的外力が外から内に直達して起こるlaceration(穿孔)とに分ける,発症機序に基づいた明確なものである。lacerationはさらにpenetrating(裂傷),intraocular foreign body(眼内異物),perforating(二重穿孔)に細分される(表1)。ここでの和訳は,河野3)の定義に従った。
本稿は,眼外傷をKuhnの分類に基づいて分類し,検討した自験データを示しながら,その手術適応,タイミングなどについて解説する。
参考文献
1)Kuhn F, Morris R, Witherspoon CD et al:A standardized classification of ocular trauma. Ophthalmology 103:240-243, 1996
2)Pieramici DJ, Sternberg P Jr, Aaberg TM Sr et al:A system for classifying mechanical injuries of the eye(globe). The Ocular Trauma Classification Group. Am J Ophthalmol 123:820-831, 1997
3)河野真一郎:眼球穿孔創と眼内異物.新図説臨床眼科講座9巻.76-81,メジカルビュー社,1999
4)樋口暁子・喜多美穂里・有澤章子・他:外傷性眼内異物の検討.眼臨96:978-980,2002
5)樋口暁子・喜多美穂里・有澤章子・他:鈍的外傷による眼球破裂の検討.臨眼56:1121-1125,2002
6)樋口暁子・喜多美穂里・有澤章子・他:開放性眼外傷の検討.眼科手術16:401-405,2003
7)中西秀雄・喜多美穂里・大津弥生・他:外傷に伴う網膜剥離の臨床像と手術成績の検討.臨眼60:959-965,2006
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