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文献概要
特集 手術のタイミングとポイント Ⅲ.網膜・硝子体
眼内炎―薬物治療か硝子体手術か
著者: 忍足和浩1
所属機関: 1忍足眼科
ページ範囲:P.157 - P.161
文献購入ページに移動はじめに
眼内炎は術者としてどうしても避けて通りたいものであり,患者としてもどうしても避けてもらいたい合併症の1つである。もし,不幸にも眼内炎になってしまっても,何とか視力低下せずに回復してもらいたいと願うものである。その眼内炎の治療は1995年にEndophthalmitis Vitrectomy Study(以下,EVS)の指針1)で明確な治療法として確立され,現在の眼内炎治療はそれに大きく沿うものとなっている。そのEVSのなかで述べられているものは,
1)硝子体手術は光覚弁の症例のみで効果があり,手動弁以上は緊急の硝子体手術は必要ないこと
2)抗菌薬の全身投与は効果がないこと
である。
EVSの治療法はバンコマイシンとセフタジジムの眼内投与が中心で,ある程度の視力予後を期待できる。EVSでも使用しているバンコマイシンは1980年代後半より眼内炎に対して使用し始めた2)。グラム陽性菌による眼内炎が多く,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下,MRSA) などの耐性菌にも効果がある抗菌薬投与としては妥当なもので,眼内炎治療における抗菌薬の中心である。
では眼内炎に対する治療は,このバンコマイシンを中心とした薬物療法だけに頼っていいものなのであろうか。硝子体手術を治療の本幹に据えて治療を行った杏林アイセンターのデータと比較して考えていきたいと思う。
眼内炎は術者としてどうしても避けて通りたいものであり,患者としてもどうしても避けてもらいたい合併症の1つである。もし,不幸にも眼内炎になってしまっても,何とか視力低下せずに回復してもらいたいと願うものである。その眼内炎の治療は1995年にEndophthalmitis Vitrectomy Study(以下,EVS)の指針1)で明確な治療法として確立され,現在の眼内炎治療はそれに大きく沿うものとなっている。そのEVSのなかで述べられているものは,
1)硝子体手術は光覚弁の症例のみで効果があり,手動弁以上は緊急の硝子体手術は必要ないこと
2)抗菌薬の全身投与は効果がないこと
である。
EVSの治療法はバンコマイシンとセフタジジムの眼内投与が中心で,ある程度の視力予後を期待できる。EVSでも使用しているバンコマイシンは1980年代後半より眼内炎に対して使用し始めた2)。グラム陽性菌による眼内炎が多く,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下,MRSA) などの耐性菌にも効果がある抗菌薬投与としては妥当なもので,眼内炎治療における抗菌薬の中心である。
では眼内炎に対する治療は,このバンコマイシンを中心とした薬物療法だけに頼っていいものなのであろうか。硝子体手術を治療の本幹に据えて治療を行った杏林アイセンターのデータと比較して考えていきたいと思う。
参考文献
1)Endophthalmitis Vitrectomy Study Group:Results of the Endophthalmitis Vitrectomy Study. A randomized trial of immediate vitrectomy and of intravenous antibiotics for the treatment of postoperative bacterial endophthalmitis. Arch Ophthalmol113:1479-1496, 1995
2)Pflugfelder SC, Hernandez E, Fliesler SJ et al:Intravitreal vancomycin. Retinal toxicity, clearance, and interaction with gentamicin. Arch Ophthalmol105:831-837, 1987
3)忍足和浩・平形明人・岡田アナベルあやめ・他:白内障術後感染性眼内炎の硝子体手術成績.日眼会誌107:590-596,2003
4)Barry P, Seal DV, Gettinby G et al, ESCRS Endophthalmitis Study Group:ESCRS study of prophylaxis of postoperative endophthalmitis after cataract surgery. Preliminary report of principal results from a European multicenter study. J Cataract Refract Surg 32:407-410, 2006
5)Pea F, Ferrari E, Pavan F et al:Levofloxacin disposition over time in aqueous humor of patients undergoing cataract surgery. Antimicrob Agents Chemother 49:2554-2557, 2005
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8)Doft BH, Kelsey SF, Wisniewski SR:Additional procedures after the initial vitrectomy or tap-biopsy in the Endophthalmitis Vitrectomy Study. Ophthalmology 105:707-716, 1998
9)Doft BM, Kelsey SF, Wisniewski SR:Retinal detachment in the endophthalmitis vitrectomy study. Arch Ophthalmol 118:1661-1665, 2000
10)Han DP, Wisniewski SR, Kelsey SF et al:Microbiologic yields and complication rates of vitreous needle aspiration versus mechanized vitreous biopsy in the Endophthalmitis Vitrectomy Study. Retina 19:98-102, 1999
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