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特集 手術のタイミングとポイント Ⅴ.眼瞼,斜視
甲状腺眼症に対する手術適応とタイミング
著者: 萩原正博1
所属機関: 1萩原眼科クリニック
ページ範囲:P.280 - P.286
文献購入ページに移動甲状腺眼症とは文字どおり甲状腺疾患に伴う眼科的異常で,多彩な症状を示すが,1 眼窩内の脂肪組織の炎症による眼球突出(図1),2 外眼筋炎による眼球運動障害(図2),3 眼瞼挙筋の炎症または交感神経の反応性亢進による眼瞼後退(図3)が基本的な病態である。兎眼および角膜障害,視神経障害などはこれらの基本的な病変に続発して生じると考えれば,それぞれの病態が理解しやすいであろう(表1)。これらの病変はすべてが同時に存在し,さらにいずれもが高度の症状を示す場合もあれば,いずれかのみが目立つこともある。
若年者では女性に多く,眼球突出を示すことが多いが,眼球運動障害は少ない傾向にあるのに対して,40代以降では眼球運動障害が高度で,眼球突出は比較的軽度であることが多い1,2)。この年齢層でもやはり女性に多いものの,若年者における眼球突出ほどの性差はなく,男性にも多くみられる。甲状腺疾患の男女比を考えると,眼球運動障害はむしろ男性に発症しやすいともいえる。
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