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連載 日常みる角膜疾患44
単純ヘルペス性角膜炎-検査法
著者: 川本晃司1 近間泰一郎1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
ページ範囲:P.1878 - P.1880
文献購入ページに移動患者:28歳,男性
主訴:左眼眼痛
現病歴:2005年4月中旬より左眼の霧視を自覚していた。4月24日,左眼眼痛が出現したために近医を受診した。抗菌点眼薬で経過観察されていたが,軽快しないため4月27日,当科を紹介され受診した。
既往歴・家族歴:特記事項なし。
初診時所見:視力は右0.6(1.0),左0.01(矯正不能),眼圧は右12mmHg,左25mmHgであった。両眼瞼にはアトピー性皮膚炎を認めた。右眼結膜,角膜には異常所見はみられなかった。左眼結膜充血を認め,角膜中央部にフルオレセインおよびローズベンガル染色でよく染色されるterminal bulb(末端部の瘤状膨大部)を伴った樹枝状角膜炎がみられた(図1)。さらに角膜実質には円板状に浮腫性の混濁を認め,角膜実質の浅層5~10時方向にかけて免疫輪を認めた。角膜内皮面には散在性に角膜後面沈着物を認め,前房内には炎症細胞を認めた。硝子体および網膜には異常所見は認められなかった。角膜知覚検査では右55mm,左10mmと左眼の知覚低下を認めた。角膜上皮擦過物からは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:以下,HSV)Ⅰ型抗原が検出された。
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