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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻13号

2006年12月発行

文献概要

連載 日常みる角膜疾患45

兎眼性角膜症

著者: 川本晃司1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野

ページ範囲:P.2006 - P.2007

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症例

 患者:30歳,女性

 主訴:右眼視力低下,右眼閉瞼不全

 現病歴:1998年に右聴神経腫瘍を指摘され,同年に開頭腫瘍摘出術を施行された。手術後から顔面神経麻痺による右眼閉瞼不全が出現したために神奈川県内の大学附属病院眼科を受診した。右眼の兎眼性角膜症と知覚麻痺性角膜炎を指摘され加療されたが右眼の視力低下が増悪したために,精査・加療目的で1999年3月に当科を紹介され受診した。

 既往歴・家族歴:特記事項はない。

 当科初診時所見:視診により右側の口角の低下,浅い鼻唇溝に加え,右眼の閉瞼不全,結膜充血,下眼瞼の外反がみられた(図1a)。また正面視では右前頭部の皺寄せがみられなかった(図1b)。視力は右眼0.01(矯正不能)であった。右眼角膜の中央からやや下方にかけて角膜上皮びらんがあり,血管侵入を伴った角膜実質性の混濁もみられた(図2)。涙液分泌試験(シルマーI法)では涙液分泌の低下はみられなかった。角膜知覚検査では右眼の角膜知覚の有意な低下がみられた。

参考文献

1)Kersten RC:Lagophthalmos and other malpositions of the lid. In:Krachmer JH, Mannis MJ, Holland EJ(eds):Cornea. 2nd ed. 433-441, CV Mosby, Philadelphia, 2005
2)Betharia SM, Sharma V:Inverse Bell's phenomenon observed following levator resection for blepharoptosis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol244:868-870, 2006
3)近間泰一郎・川本晃司・西田輝夫:神経麻痺性角膜症.臨眼 59:1036-1039,2005
4)近間泰一郎:神経麻痺性角膜症への対応.眼科診療プラクティス79(角結膜疾患の薬物療法):86-88,2002
5)Castroviejo-Bolibar M, de Damborenea A, Fernandez-Vega A:Surgical repair of paralytic lagophthalmos by medial tarsal suspension of the lower lid. Br J Ophthalmol 80:708-712, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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