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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻13号

2006年12月発行

文献概要

臨床報告

角膜穿孔に至ったフザリウムによる角膜真菌症に術後ボリコナゾールが有効であった1例

著者: 加藤葵1 本間龍介1 井上順1 椋本茂裕1 上野宏樹1 上野聰樹1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.2059 - P.2062

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要約 目的:術後の角膜穿孔に対してボリコナゾールが奏効したフザリウムによる角膜真菌症症例の報告。症例と経過:60歳女性が左眼の充血と眼痛で受診した。結膜充血が主な異常所見であり,結膜炎と診断した。3週間後に症状が悪化し,左眼に周辺部角膜潰瘍があった。潰瘍が急速に拡大し,角膜擦過物の培養でフザリウムが検出された。悪化から4日後に抗真菌薬であるフルコナゾールとピマリシンによる治療を開始した。22病日に角膜が穿孔し,結膜被覆術を行った。その後ボリコナゾールの点滴と点眼を行い,病変は鎮静化し,被覆部以外の角膜が透明化した。結論:ボリコナゾールはフザリウムによる角膜真菌症に対して奏効することがある。

参考文献

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3)佐方弘哲・三宅太一郎・目加田篤:早期に手術に踏み切るべきと考えられた急激に進行したFusariumによる角膜潰瘍の1例.臨眼 58:1205-1208,2004
4)鈴木 崇・宇野敏彦・宇田高広・他:糸状菌による角膜真菌症13例の臨床的検討.眼科 45:1183-1188,2003
5)高橋健一郎・高岡 源・井上幸次・他:多種抗真菌薬に抵抗を示した角膜真菌症の1例.眼科 41:1475-1478,1999
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11)岩上英一・松本光希・藤井智仁・他:急激に進行し穿孔に至ったFusariumによる角膜真菌症の1例.眼紀 51:638-642,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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