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連載 日常みる角膜疾患35
角膜プラーク
著者: 福田憲1 熊谷直樹1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.162 - P.164
文献購入ページに移動患者:9歳,男性
主訴:両眼視力低下,そう痒感
現病歴:7歳頃より春季カタルの診断のもと,近医にて抗ヒスタミン点眼薬(リボスチン(R)点眼)およびステロイド点眼剤(0.1%オドメール(R)点眼)の点眼治療を受けていたが,角膜病変が遷延化するため当科を紹介され受診した。
既往歴・家族歴:アトピー性皮膚炎,喘息,アレルギー性鼻炎
初診時所見:視力は右0.4(0.7×S-1.50D()cyl-0.50D 180°),左0.4(0.5×S-1.50D()cyl-0.50D 90°),眼圧は右12mmHg,左13mmHgであった。細隙灯顕微鏡では両眼とも上眼瞼に強い充血,浮腫,浸出物を伴った巨大乳頭を認めた。また角膜には落屑状の点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy:SPK)と右眼には角膜プラークを認めた(図1a,b)。
治療経過:眼瞼型の春季カタルと診断し,ステロイド点眼剤を0.1%リンデロン(R)点眼に変更し,抗アレルギー点眼薬(インタール(R)点眼)と併用して加療した。約2か月後には上眼瞼の炎症は軽減し,また角膜上のSPKは消失したため,右眼の角膜プラーク除去術を施行した。術後はフィブロネクチン点眼を併用し速やかに上皮化が得られ(図1c,d),術後4日目の右眼視力は0.5(0.9×S-1.75D()cyl-0.75D 90°)と改善した。
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