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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

臨床報告

硝子体出血と続発緑内障を発症した瘢痕期未熟児網膜症の成人例

著者: 鈴木浩之12 森秀夫1

所属機関: 1大阪市立総合医療センター眼科 2高槻病院眼科

ページ範囲:P.189 - P.192

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35歳男性に左眼視力低下が突発し,即日受診した。生下時体重が1,280gであり,酸素の投与を受けていた。運転免許をもっていたが,右眼は弱視であったという。矯正視力は右眼0.01,左眼手動弁で,眼圧は右眼15mmHg,左眼53mmHgであった。右眼に牽引乳頭があり,瘢痕期未熟児網膜症と推定した。左眼には角膜浮腫,前房出血,硝子体出血があった。保存的治療で眼圧は正常化し,硝子体出血は消失した。発症から10日後の左眼矯正視力は0.7で,-8Dの近視があった。11か月後に左眼視力は1.0となり,無治療で以後の眼圧は安定している。左眼には牽引乳頭と出血源と推定される周辺部異常血管からの蛍光漏出と無灌流域があった。緑内障の原因として,赤血球による隅角閉塞と大量出血による硝子体腔の容積増加が推定された。成人の硝子体出血に過去の未熟児網膜症が関与した1例である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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