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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

臨床報告

両眼先天性水晶体欠損に対して水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術を施行した1例

著者: 長尾泰子1 高須逸平2 岡信宏隆2 大月洋2

所属機関: 1高知医療センター眼科 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科

ページ範囲:P.197 - P.200

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34歳男性が1年前からの視力低下と霧視で受診した。生来近視であったという。裸眼視力は両眼とも0.4で矯正不能であった。水晶体の下方約120°に及ぶ切断状欠損が両眼にあり,軽度の白内障があった。両眼に水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を施行した。下方のチン小帯が疎で脆弱であることに留意して円形前囊切開を行った。水晶体切除の後,水晶体囊拡張リングを囊内に挿入して囊を拡張保持して眼内レンズを囊内に固定した。右1.2,左1.0の術後視力を得た。水晶体欠損眼での白内障手術で水晶体囊拡張リングが有用であった症例である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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