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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

臨床報告

全層角膜移植術後の原疾患別術後成績と内皮細胞密度減少率の検討

著者: 原田大輔12 宮井尊史1 子島良平1 笠岡政孝1 大谷伸一郎1 中原正彰1 宮田和典1 西田輝夫2

所属機関: 1宮田眼科病院 2山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)

ページ範囲:P.205 - P.209

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過去4年間に某眼科病院で全層角膜移植術を行い,2年以上の経過を観察できた167例179眼を解析した。男性65例68眼,女性102例111眼であり,年齢は平均69歳であった。原疾患は角膜白斑92眼(51%),水疱性角膜症55眼(31%),円錐角膜12眼(7%),再移植14眼(8%)などである。最終診察時に149眼(83.2%)が透明治癒していた。透明治癒率は,水疱性角膜症で73%,再移植例で43%であった。全症例での累積透明治癒率は,術後2年で92.1%,5年で75.2%であった。移植片不全例が30眼あり,拒絶反応によるものが最も多く,10眼にこれが起こった。角膜内皮細胞密度減少率は,全症例では術後1年で24.1%,2年で41.9%であり,術後1年では再移植例,2年では水疱性角膜症で減少率が有意に大きかった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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