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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻3号

2006年03月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (1)

うっ血乳頭が唯一の所見であった特発性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)の1例

著者: 富田斉1 金上貞夫1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学附属東医療センター眼科

ページ範囲:P.357 - P.361

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43歳女性が2か月前から目が霞み,数秒間ピントが合わないとの訴えで受診した。視力は正常であり,唯一の他覚的異常としてうっ血乳頭が両眼にあった。その高さは右眼1.0D,左眼2.0Dであり,乳頭周囲に静脈の怒張と出血があった。内科での神経学的検査には異常がなく,磁気共鳴画像検査(MRI)などでも異常所見はなかった。脳脊髄液の性状は正常であったが,圧が250mmH2Oを超え,特発性頭蓋内圧亢進症と診断した。8か月後に視野欠損が生じ徐々に悪化した。初診から11か月後にアセタゾラミド1日量750mgの経口投与を始めた。6か月後にうっ血乳頭と視野が改善した。視野検査と立体眼底撮影は特発性頭蓋内圧亢進症の経過観察に有用であった。アセタゾラミドの経口投与は本症の初期治療に有効である可能性がある。

参考文献

1)Friedman DI, Jacobson DM:Idiopathic intracranial hypertension. J Neuro-Ophthalmol 24:138-145, 2004
2)向野和雄・石川 哲:我が国における特発性偽脳腫瘍pseudotumor cerebriの頻度―アンケート調査による中間報告.神経眼科 11:52-54,1994
3)Durcan FJ, Corbett JJ, Wall M:The incidence of pseudotumor cerebri. Population studies in Iowa and Louisiana. Arch Neurol 45:875-877, 1988
4)Wall M, George D:Idiopathic intracranial hypertension. A prospective study of 50 patients. Brain 114:155-180, 1991
5)金上貞夫:立体写真記録.眼科学大系1.中山書店,201-207,1993
6)橋本雅人・大塚賢二・中村 靖・他:炭酸脱水酵素阻害薬が有効であった脳偽腫瘍の2例.あたらしい眼科 14:1583-1586,1997
7)Liu GT, Glaser JS, Schatz NJ:High-dose methylprednisolone and acetazolamide for visual loss in pseudotumor cerebri. Am J Ophthalmol 118:88-96, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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