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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科60巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 第59回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

網膜下膿瘍様所見を呈した内因性眼内炎に対し早期硝子体手術が有効であった1例

著者: 矢寺めぐみ1 安宅伸介1 大杉秀治2 河野剛也1 久保ちひろ3 今本量久3 白木邦彦1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学 2和泉市立病院眼科 3石切生喜病院眼科

ページ範囲:P.515 - P.518

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目的:内因性眼内炎に対し早期硝子体手術が奏効した症例の報告。症例:42歳男性の左眼に霧視が生じた。その10日前に左上歯肉膿瘍の排膿を受けて以来,熱発が続いていた。6日前から抗菌薬を内服していた。近医でぶどう膜炎と診断され,さらにCTで肝膿瘍が発見された。その翌日の受診時には,前房蓄膿と高度の硝子体混濁があった。矯正視力は右1.5,左0.2であった。硝子体手術を即日行い,術中に広範な網膜壊死と耳側網膜下に膿瘍形成が発見された。結果:手術の2週後から網膜の壊死部が瘢痕化し,5週後には左眼視力が1.2に改善した。結論:この症例は,内因性眼内炎に対し早期の硝子体手術が奏効することを示している。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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